Freneticでfanatic
2007年6月27日 エッセイ 年金記録の問題で、非常におかしな世論が形成されつつあります。
曰く、「社会保険庁の職員がボーナスを貰っているのが許せない」「社会保険庁の職員はボーナスを返上するべきだ」と。
無責任かつ刺激的な発言が、テレヴィジョンと云うメディアでうけるのは理解できるが、さりとて一部の莫迦の浅慮な発言を、ニュース系の番組でさえ積極的に取り上げて放送している。
蒙昧な大衆はそれに簡単に流され、物事の本質も背景も理解しないまま、軽薄な世論が形成されていく。
よく考えてみて欲しい。
政治屋共が自分のボーナスの返上できる分を返上するのは、選挙を睨んだパフォーマンスでしかない。奴等は、「法律上返上できない」議員歳費で大衆からみれば巨額といえる報酬を得ており、ボーナスの一部を返上したところでその生活に全く痛痒を感じない。
しかも、勉強不足のマスコミは、政治屋共のコメントに体よく騙されている。一部のメディアの伝えるところでは、彼らの一部は「ボーナスの全額を返上」と報道した。しかし、議員歳費部分の返上は、国会議員による寄付行為に当たる為に不可能なのだ。「閣僚として受け取る部分の全額」と云う注釈付きの報道が正しいのであって、更にそれが全ボーナス額の何割に当たり、金額はいくらかを詳細に大衆に知らせてくれればいっそメディアとして立派だと想うが。
…まぁ、それをやればパフォーマンスどころか逆に反感を買うことを解かり切っている権力者側が、そんな報道をさせるとも思えないが…
一般の社会保険庁職員は、その殆どが、今無責任に「ボーナスを返上しろ」と騒いでいる大衆と同じように、何の権限も、勿論今回の事件に直接責任も持たない一般の職員でしかない。そしてその殆どが、それを返上させられたら生活に直接大きな打撃を受けるのだ。
例えば、ゼネコンなど。繰り返し繰り返し贈収賄や談合などで国民の財産たる税金を不当に損失させている奴等の、その一般職員に対して、貴様らいちどでも「ボーナスを返上して税金を弁償しろ」と主張したことがあるのか。
そしてあまりにもお粗末で卑怯で無能なのが、社会保険庁の高官共。
自分たちのボーナスの一部返上は、まぁいいだろう。一般職員に対して、ボーナスの自主返上を呼びかけているそうだが、こういった類のものが、過去に一度でも、本当に「自主」だった例はない。
確かに、自由意志によって、返上を拒否はできるだろう。しかし、組織ぐるみでこういった号令をかけた場合、必ずその拒否は記録され、それを原因とした職場内のいじめや処遇差別などが起こることは目に見えている。
現在の日本と云う、労働基準法が形骸化し尽くして職場環境が無法地帯である国で、そういったことになれば、その先どうなるのか。サラリーマンのうつ病が多発し、子どもの比ではない、そして他国に比べて非常識な程高い自殺率が総てを暗示している。
しかも、ボーナスを返上させて、どうするのか。それらは、年金に充てられる訳でもないのに。職員のモラルの低下を招き、事態をより混沌とさせるだけである。
どうにも、減点主義過ぎる日本人には、個人単位に責任を押し付けてそれを苛め抜く習性が顕著に見られて嫌なのだが、本当に必要なのは、問題の解決と再発の防止だろう。
個人にとって見れば、確かに「消えた年金」かもしれないが、確実に支払っている限り、国が「受け取った年金掛け金」は実在する。消えてはいないのだ。消えたのは、特定の個人が払ったと云う記録だけである。それらを効率よく整理することこそが、現在急務なのであって、この点に関してのみ、現政権の姿勢は正しい。
世論と云うものは、影響力のあるマスコミが刺激的な言葉を使って煽れば、とても簡単に、熱狂的、狂信的に、自分ではない反論できない立場の者を責める風潮に染まる。
以前、刑罰について述べた時にも記述したが、簡単に被害者感情に迎合する措置を取るのは、権力の在り方として、危険極まりない。
簡単に誰かを責める前に、起きている事実と原因を見極め、建設的な解決策を考えるべきである。事故や事件の総てに、100%の悪人や原因者が存在する程、世界は単純ではないのだから。
曰く、「社会保険庁の職員がボーナスを貰っているのが許せない」「社会保険庁の職員はボーナスを返上するべきだ」と。
無責任かつ刺激的な発言が、テレヴィジョンと云うメディアでうけるのは理解できるが、さりとて一部の莫迦の浅慮な発言を、ニュース系の番組でさえ積極的に取り上げて放送している。
蒙昧な大衆はそれに簡単に流され、物事の本質も背景も理解しないまま、軽薄な世論が形成されていく。
よく考えてみて欲しい。
政治屋共が自分のボーナスの返上できる分を返上するのは、選挙を睨んだパフォーマンスでしかない。奴等は、「法律上返上できない」議員歳費で大衆からみれば巨額といえる報酬を得ており、ボーナスの一部を返上したところでその生活に全く痛痒を感じない。
しかも、勉強不足のマスコミは、政治屋共のコメントに体よく騙されている。一部のメディアの伝えるところでは、彼らの一部は「ボーナスの全額を返上」と報道した。しかし、議員歳費部分の返上は、国会議員による寄付行為に当たる為に不可能なのだ。「閣僚として受け取る部分の全額」と云う注釈付きの報道が正しいのであって、更にそれが全ボーナス額の何割に当たり、金額はいくらかを詳細に大衆に知らせてくれればいっそメディアとして立派だと想うが。
…まぁ、それをやればパフォーマンスどころか逆に反感を買うことを解かり切っている権力者側が、そんな報道をさせるとも思えないが…
一般の社会保険庁職員は、その殆どが、今無責任に「ボーナスを返上しろ」と騒いでいる大衆と同じように、何の権限も、勿論今回の事件に直接責任も持たない一般の職員でしかない。そしてその殆どが、それを返上させられたら生活に直接大きな打撃を受けるのだ。
例えば、ゼネコンなど。繰り返し繰り返し贈収賄や談合などで国民の財産たる税金を不当に損失させている奴等の、その一般職員に対して、貴様らいちどでも「ボーナスを返上して税金を弁償しろ」と主張したことがあるのか。
そしてあまりにもお粗末で卑怯で無能なのが、社会保険庁の高官共。
自分たちのボーナスの一部返上は、まぁいいだろう。一般職員に対して、ボーナスの自主返上を呼びかけているそうだが、こういった類のものが、過去に一度でも、本当に「自主」だった例はない。
確かに、自由意志によって、返上を拒否はできるだろう。しかし、組織ぐるみでこういった号令をかけた場合、必ずその拒否は記録され、それを原因とした職場内のいじめや処遇差別などが起こることは目に見えている。
現在の日本と云う、労働基準法が形骸化し尽くして職場環境が無法地帯である国で、そういったことになれば、その先どうなるのか。サラリーマンのうつ病が多発し、子どもの比ではない、そして他国に比べて非常識な程高い自殺率が総てを暗示している。
しかも、ボーナスを返上させて、どうするのか。それらは、年金に充てられる訳でもないのに。職員のモラルの低下を招き、事態をより混沌とさせるだけである。
どうにも、減点主義過ぎる日本人には、個人単位に責任を押し付けてそれを苛め抜く習性が顕著に見られて嫌なのだが、本当に必要なのは、問題の解決と再発の防止だろう。
個人にとって見れば、確かに「消えた年金」かもしれないが、確実に支払っている限り、国が「受け取った年金掛け金」は実在する。消えてはいないのだ。消えたのは、特定の個人が払ったと云う記録だけである。それらを効率よく整理することこそが、現在急務なのであって、この点に関してのみ、現政権の姿勢は正しい。
世論と云うものは、影響力のあるマスコミが刺激的な言葉を使って煽れば、とても簡単に、熱狂的、狂信的に、自分ではない反論できない立場の者を責める風潮に染まる。
以前、刑罰について述べた時にも記述したが、簡単に被害者感情に迎合する措置を取るのは、権力の在り方として、危険極まりない。
簡単に誰かを責める前に、起きている事実と原因を見極め、建設的な解決策を考えるべきである。事故や事件の総てに、100%の悪人や原因者が存在する程、世界は単純ではないのだから。
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